お爺ちゃんのおせち料理。世界一の味。

お爺ちゃんのおせち料理。世界一の味。

我が家はおせちの重箱がお正月にでてくるのはオリンピック開催よりも少なく、5〜6年に1度でした。
それというのも、両親共に砂糖を使った料理がそれほど好きではないため、せいぜい栗きんとんがあればいいという単純な理由からなのです。

 

なので、仕事上のお付き合いで購入した時だけ食卓に並ぶものでした。

 

そんな両親に育てられた私たち子供も、小さい頃から砂糖がたくさん入った料理が苦手だったもので、おせちはずっと残ってしまう結果に。

 

一番最初になくなるのは練り物という、珍しい家庭だったのです。

 

そんな中、母の実家(割烹)から「おせちの革命」をしたから食べて欲しいと連絡があり、失礼ながらさほど期待もせずにおせちを頂戴しました。

 

(届けに来てくれた叔父の話では、今までは一般的なおせちが好まれるので正統派おせちを作っていたそうです。)

 

お重を開けてみたところ、色合いや照りや配置はすごく美しくて、センスの良さを感じたものの、きっと甘いんだろうと思って食べたのですが、革命後のおせちはどの料理もお出汁と素材の味と甘味がバランスよく、見た目は変わらないのに、味の違いが歴然!

 

あまりの美味しさに驚きました。とくに昆布巻き。家族内でおせち取り合いです。生まれて初めての事でした。
さすがは我が祖父。食材には変化を加えず味で勝負。お見事すぎる革命でした。

 

おかげさまでおせちが残ることもなく、予定よりも早くなくなってしまったので、通常の食事に切り替えるのが早まったので、台所に立つ身としては残念な結果とも言えますが、早いうちに通常のご飯に切り替えたことで、糖分も取りすぎず、家族の正月太りも軽減されました。

 

家庭でのおせち料理の思い出はここまでですが、この先にさらに大きな思い出に残る事がありました。
母実家への新年のご挨拶のときです。

 

私が「あけましておめでとうございます。お爺ちゃん。おせち、おかわり!」と言った事で、いつも喜怒哀楽どの感情も表さない祖父が、大きな声で笑い出したのです。

 

あのお爺ちゃんが体仰け反り、大笑いしているなんて誰も想像できなかったことだったので、祖母・叔父・叔母含め全員の目が点に。

 

そりゃ、仕込みもしてないのにおかわりが出てくるなんて思ってなかったですよ。

 

滅多に頂けないお爺ちゃんの料理をまた食べたい気持ちと、次回に繋げたいという魂胆がバレたのでしょうね。

 

私たちが帰った後もお爺ちゃんは笑顔で、時折「おかわり・・・」と小さく呟いてはニヤニヤし、「これ以上の褒め言葉はないね。」と言っていたそうです。

 

その年、持病の悪化でお爺ちゃんは板場を後にし、永遠の眠りにつきました。
現役中に「これ以上ない褒め言葉」を伝えられたことを誇りに思っています。

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